HOME  >  CUBE創設を支えた人たち  >  谷口 幸代

CUBE創設を支えた人たち

教職員も学生たちも、家族のように支え合い、共に学び、成長した。大学職員 谷口 幸代。CUBE在任期間:2009年6月~2017年5月

Q.
CUBEには少し遅れて参加したそうですね。どのような印象でしたか?
谷口

CUBE開学から2ヵ月後の6月に異動してきたのですが、最初におどろいたのは、職員の皆さんが学生の名前や顔を覚えていること。それだけでなく、年内入試か一般入試、どこの高校出身で、保護者の方のことまで知っている。
職員みんなが親戚の子供をお預かりしているように、親身になって一人ひとりの学生と日々接していました。これは出遅れたなーと、焦りました(笑)。

Q.
学生たちはどのような様子だったのですか。
谷口

「CUBEが大好き」という学生が多かったです。多くの学生が、これからの4年間で自分が変わっていける、成長できるという期待と、いろいろなことに挑戦したいという情熱を持っているように感じました。
それって、普通の大学ではありえないことですよね。

Q.
なぜ学生たちは、最初からそんなに盛り上がっていたのでしょう?
谷口

実際、CUBEには、学生たちが成長できる仕組みがたくさん用意されていたのです。佐藤学部長が持ち前の行動力で、今までになかったさまざまなチャンスを学生に提供してくれて、学生たちも積極的に参加し、挑戦していました。
私たち職員もその様子を間近で見ていたので、精いっぱい学生を支援したい、応援したいという気持ちがさらに強くなっていったのだと思います。

たとえば、1日社長について経験する「社長カバン持ちコース」、上海で1週間、現地の大学生や駐在員の方々と交流する「上海インターンシップ」、NYコロンビア大学ビジネススクール(通信情報研究所)での1ヵ月インターンシップなど、他の大学にはないユニークなインターンシップがいろいろあったんですよ。

Q.
実際に、学生たちの成長していく様子も見てこられたのですね。
谷口

4年間さまざまなチャレンジを重ねるうちに、みんな少しずつ変わっていきました。成長していく姿がとても頼もしかったですね。

たとえば、「NTT西日本インターンシップ」で、佐藤先生と地域活性化の成功事例で有名な海士町(隠岐諸島)に行った学生は、その後に自分で海士町にメールを送って交渉し、一夏、海士町でインターンシップさせていただきました。夏休みが終わり秋学期になると、授業での姿勢や顔つきもすっかり変わって、自信がついたのか、成長したなと思いました。
同じく、佐藤先生の紹介でノーベル平和賞受賞者のユヌス氏の講演会に出席した学生は、ユヌス氏に手紙を渡し、自分でインターンシップをお願いし、夏休みバングラディッシュに行くことができました。

卒業に向けて、就活、新たな挑戦。卒業生がいない、キャリアセンターもない。情報不足をどうするか。

Q.
配属された当時、一期生の就職活動をサポートするというミッションがあったようですね。
谷口

はい、岡本のキャリアセンターからは、就職内定率90%以上を目標にといわれて、プレッシャーを感じながらの赴任でした(笑)。

ただ、一期生たちは、岡本キャンパスに比べると就活に関してデメリットがいくつかありました。
まず、就職活動をサポートしてくれるキャリアセンターや対策講座が、岡本キャンパスにしかない。
さらに、当然ながら一期生なので卒業生も先輩もいない。それが一番の弱みだったと思います。その分、私たちがしっかりとサポートしなければ、という想いで必死でした。

Q.
学生たちに、戸惑いはなかったのですか?
谷口

不安はあったと思いますが、CUBEの学生はとても素直な子が多いので、私のアドバイスをよく聞いて行動に移してくれました。CUBE独自のキャリア支援講座をスタートさせ、そこでこんなことが学べるよとか、企業セミナーでは積極的に質問しなさいとか、岡本キャンパスに慣れていないので余裕をもって行くように教室の場所を教えたり、面接練習とかもやりましたね。

それでもCUBE生たちは、1年生の頃からインターンシップを経験したり外部の人と接触する機会が多くありましたし、社会に出てから活躍できるように鍛えられていたので、想像していた以上に評価が高かったんです。

たとえば、キャリアセンターが学生を面接して企業インターンシップに参加できる人を選ぶのですが、金融関係などは1~2人の枠に30人くらい応募がある。そんな選考にもCUBE生たちが選ばれることが多かったので、自信もついてきますし、触発されて他の学生たちも動き出すようになっていきました。

「来年もCUBEから採用したい」。社会からの嬉しい評価が聞こえだした。

Q.
なるほど。今まではCUBEの中だけだったのが、外に出ることで良いところが目立ってきた。
谷口

そうですね。CUBEでは先生や職員との距離が常に近いからか、人との接し方や相手の気持ちに配慮する力が養われていたのだと思います。たとえば、小さなことですが、毎日顔を合わせるから必ず挨拶する。そのときに会話が生まれるし、お互いを思いやる気持ちも育つというようにね。

私がとても嬉しかった思い出話をすると、SPI講座のこと。夏休み中に5日間くらい実施される集中講座なんですが、岡本キャンパスで300人くらいが参加するんです。ベテランの先生で人気があるので大教室に入りきらないから、溢れた人たちはモニターをみて遠隔で受講するくらい。学生には先生に覚えてもらえるように早く行って最前列で受けなさいと伝えていました。彼らは言葉どおりに、毎日最前列で勉強してきたそうです。

「よしよし」と思っていたら、ある時そのSPI講座の先生からキャリアセンターに電話があったんですよ。「講座最終日に、最前列の学生さんたちから花束をもらいました」と。長く教えているけど、あんなことをしてもらったのは初めてで、とても嬉しかったと言ってくださいました。それを聞いて、私もすごく嬉しかった。みんな素直で、そんな心配りやサプライズがができる子たちなんですよ。

Q.
谷口さん、とても嬉しそうです。自分の子どものことのようですね。
谷口

そうですね、子どもが200人くらいいるような感じでした(笑)。私自身、長く職員をしていますが、とてもいい経験をさせてもらったと思っています。

Q.
実際に、就職活動でも良い結果が出たそうですね。
谷口

就職内定率98.7%。競う訳ではありませんが、他の学部よりも良い数字でした。
新学部の一年目って、企業側も興味をもっておられるので、学生達の希望する企業にできるだけ就職してほしいという気持ちがありました。CUBEの場合は、就職内定率という数字だけでなく、企業側の評価も高かった。二期生以降も、CUBEで就職説明会をしたいとご要望があったり、次もCUBE生を採用したいという声をいくつもいただきました。

Q.
それはCUBEの教育スタイルが認められた、ということでもありますね。
谷口

佐藤学部長は、社会に出たときのために実践力を備えた学生を育てたいといつもお話されていたので、そんな行動力や組織の中で活躍する力を発揮してくれているのでしょうね。
CUBEには自分が成長できるチャンスがたくさんあるので、積極的に行動をおこした学生たちは着実にステップアップしていましたね。

一人ひとり違うから、個別に作戦を練った日々。

Q.
キャリアサポートで気を付けていたことは?
谷口

学生一人ひとりがやりたいことも違いますから、個別にしっかり話を聞いていました。大手企業だから良いというようなことではなく、本人が行きたいと思うところなら反対はしませんでした。

ある学生は、どうしても映画関係の仕事がしたいから、最初は映画会社のアルバイトで頑張りたいと。その子はついに、映画関係の会社に就職したそうです。

Q.
基本的に、家族のように一人ひとりをよく知っているからできる、そんな対応なんですね。
谷口

キャリアサポートに限らず、そうですね。
なんというか、教職員みんなのサービス精神が旺盛。配属当初は、「そこまでしてあげるの?」と思ったくらい。学生が困ってやってきたら、そのままの状態では帰さないという体制でした。
ふつうなら受付時間がおわるとカーテンが閉まって終わりなんですが、CUBEはガラス張りで丸見えなので、学生にしたら声をかけやすい雰囲気だったと思います。
何か困ったことがあれば、事務室には大人がいて助けてもらえるという安心感があったのだと思います。

CUBEにいる大人みんなから守られている。だから、思いきり成長できる。

Q.
先生も職員のかたも、みんなで学生を育てていると。
谷口

実は、毎日清掃をしてくださるスタッフの方とも、チームワークがとれていたんですよ。CUBEキャンパスは、基本的にゴミなんか落ちていないのですが、それでもゴミ箱に入っているゴミの量が急に多くなったりすると、さらっと清掃の方が私に教えてくれたりするんです。
「谷口さん、最近ゴミが増えたみたい。学生さんたち、疲れてるのかな」って。小さなことですがそういう変化って大切で、人は気持ちが荒れてくると部屋が散らかったりするものなので、事務室のほうで気を付けてフォローしたり。

管理人の方も、毎朝エントランスのところでみんなを出迎えてくれて、夜は夜で11時まで残って勉強したいというリクエストに応えて、巡回をして見守ってくださっていました。ありがたいですよね。

Q.
見えないところで守られている。だからこそ信頼関係ができて、学生の成長につながる。
谷口

卒業生たちは、今でもよく連絡をくれるんです。
夕方5時くらいに突然電話がかかってきて、「今からCUBEに行っていいですか?」って。東京で働いている子が、実家に帰るまえにCUBEに寄ってくれたりする。
先日は、ある一期生の子が電話をかけてきて「退職願を出してきました」って。他でやりたい仕事が見つかったそうで、「良かったねー。5年間よく頑張ったね」というと、まずは怒られると思ってたみたいで「ありがとうございます、泣きそうです」と。

Q.
こちらが泣きそうになります。
谷口

本当にうれしいですよね。最近多いのは、結婚式のムービーに出てくださいという連絡かな。子供が生まれたというニュースもちらほらあります。CUBEには8年間お世話になりましたが、あれほど密な学生対応の経験はあの時だけです。学生たちのおかげで、私はほんとに幸せ者だと思います!

今思えば、CUBEは学生たちにとって、未来のドアを開いてくれる場所なのかなと思います。彼らが成長してキラキラしていく様子を見せてもらって、私にとっても宝物のような時間だったと思っています。

メインコンテンツに戻る

Copyright © Konan University. All Rights Reserved.