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特別寄稿

平生精神が蘇った学びの場

写真:高田 博次

高田 博次
東京海上日動火災保険 平生釟三郎研究者・元東京海上日動あんしんコンサルティング 取締役総務企画部長・甲南大学 岡本キャンパス ゲストスピーカー(非常勤講師)

「人間の魂が人間を作る。人間は人間の魂の力に依らなければ、作れるものではない」。これは本学の創立者、平生釟三郎の文部大臣時代の言葉である。書き留めたのは秘書官の岩井尊人氏。岩井氏は天理出身の東京帝大を出た三井物産の若き常務であった。平生さんの大臣就任の前年、岩井氏は物産の代表として平生さん率いるブラジル経済使節団に随行、平生団長の人間力や人格にすっかり魅せられ物産を辞して秘書官になった人である。同氏の著書『平生釟三郎述 私は斯う思ふ』の中にこの言葉がある。

同書は続けて、吉田松陰の松下村塾と当時の全国藩校の教育を比べ、同じ教科書の四書五経や朱子の註釈だけを使いながら、弱冠三十そこそこの松陰の小さな塾からのみ、のちに偉人が輩出されたとも言う。
そして、平生さんの言葉では「師弟心から相觸れて共に、朝に薪を採り、夕に水を汲みつつ学ぶ生活の裡に、自然に感化薫陶したものと思ふ。その間に松陰先生の青年を薫育せんとする意気と熱、至誠の大人格が偉大なる感化力を與へたのである」と結んでいる。

甲南大学のマネジメント創造学部は、英語ではHirao School of Management。私は、縁あって、このCUBEの学部長佐藤治正先生のお声かけで、ここ数年毎年5月頃に新入生等約200人に、平生さんの遺された偉大な精神とそのDNAを伝えるべく、私の古巣、旧東京海上時代の平生さんの話を中心に、ゲストスピーカーとして講義をしてきた。いわば、CUBEとその新入生の定点観測者ともいえる。CUBE創設初期のWitness(証言者)かもしれない。吉田松陰が好きだと言い、ほとんど毎日夜9時近くまで、学生達と生活する佐藤先生の薫陶感化の力が見事に伝わりCUBEが発展進化しているのを毎回のように感じている。
平生さんが言う、松下村塾のようなCUBEで学ぶ学生は、仕合せであり好運だ。平生精神が高鳴り蘇るCUBEと学生さん達のさらなる切磋琢磨とご発展を切にお祈りする次第です。

2014年8月

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