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CUBE創設を支えた人たち

学園創立者の想いをつなぐCUBEは、生まれるべくして生まれた学校だと思う。大学職員:天野 裕介。CUBE在任期間:2007年9月~2012年5月

甲南学園の創立者、平生釟三郎先生と共通する想いがある。

Q.
今は本部で勤務されていますが、平生釟三郎先生を深く知ることで新たな発見があったそうですね?
天野
今は総務部で勤務しているので学園史の仕事にも関わっていて、甲南学園の創立者である平生釟三郎先生について知ることが多いのです。平生先生の日記などに触れていくうちに、CUBEの理念と共通する部分が多いことに驚いています。
Q.
CUBEとの共通点とは、どんな部分ですか
天野

平生先生の学生に対する熱い想い、学生を成長させてあげたいという気持ちが、初代学部長である佐藤の想いとすごく共通しています。
平生先生もそうですが、佐藤は私事のためにという発想がまったくない人。自分の名誉とかお金には一切興味がなくて、それが学生のためになるかどうかの一点だけで動いている。

佐藤とはCUBE創設当時から一緒におりましたが、それを徹底してずっとやり続けていることがすごいと思うんです。見ていて非常に心地よいですし、平生先生は甲南学園に佐藤が現れたことをとても喜んでいるだろうと思います。

Q.
天野さん自身、CUBEで学んだことも多かったのでしょうか
天野

いやー、ありとあらゆることを学ばせてもらった気がします。
佐藤や石野のおかげで考え方や生き方を学びましたし、同期で同じように配属された稲岡とはCUBEでの同級生みたいな感覚もありました。彼は非常に優秀なので、年齢が近いだけにそれに引っ張られて頑張れた部分も大きいです。

私はね、一期生が卒業するより一年早く岡本キャンパスに異動したのですが、同じ卒業生の一人だと思っているんですよ。CUBEで学んだことが、自分の人生をとても幸せにしてくれていると思っています。

Q.
最も印象的なエピソードは何でしょう
天野

たくさんありますけど、やはりキャンパスの工事が終わって引き渡しの翌日にオープンデーを開催したことですかね。佐藤が言っちゃったんですよ、オープンキャンパスで「キャンパスができあがった翌日にやります」って(笑)。

それを聞いていた私たちはかなり焦りました(笑)。でも「やった方がいいんだろうな」という気持ちはあったので、「やろうか」と。みんなの気持ちのなかに、いい学校ができるという共通の思いがありましたから。でも、まだ存在しないキャンパスですから、設計図を見ながら考えたりして大変でしたが。

その時に学んだのが、「なんとかしてやり抜く」ということ。それは、今の職場に移ってからでも共通しています。総務部として、不可能に思えることでも学生や先生のためになることなら、何か解決策がないかという信念をもって動くようにしています。たまに周囲から迷惑がられる時もありますけど(笑)。

Q.
気持ちがあるから動ける、ということでしょうね。
天野
一期生をむかえる入学式の前夜にも、同じようなことがありました。入学に関する書類をどこで渡そうかと話していたときに、今度は石野が言い出したんです(笑)。
「自分のロッカーを開けると、書類が入っていたらワクワクするよね?」と。
CUBEでは学生が身軽に勉強しやすいようにと、個人のロッカーを提供しているので、それを使ってちょっとした演出をして、学生を喜ばせてやろうとなった訳です。みんな準備でクタクタのはずなのに、手分けして楽しそうにやっていましたね。

「いい学校ができる」その確信がみんなを動かした。

Q.
学部開設の忙しいなかで、そこまで皆さんを動かした原動力とは
天野

みんなに共通していたのは「いい学校ができる」という確信だと思います。
もちろん、最初はどんな学校になるのか分からなかったけれど、佐藤が私たちスタッフに何度も何度も想いを語ってくれるうち「この先生について行ったら、すごくいい学校ができるんじゃないか」と思い始めました。

私は、CUBEに来て初めて広報担当になったのですが、キャンパスも何もない頃からのスタート。初めは戸惑いましたが、「うちに来てくれたら、ものすごくいい教育が受けられるよ」と確信をもって伝えていました。

Q.
広報活動はどのように動かれたのですか
天野
受験生という一括りではなく、いかに一人ひとりと向き合えるかを考えました。
たとえば、オープンキャンパスに来てくれた子とどんな会話をしたかをメモしておいて、2回、3回と来てくれた時には、違う話をするようにしたり。
また、井上先生のアイデアで、合格者たち専用のSNSを開設して、そこでコミュニケーションがとれるようになっていたので、私も毎日必ず全員の書き込みを読んでコメントしていました。あの頃はお正月でも常にパソコンを開けていましたね。
Q.
「CUBEは魔法学校」という言葉がありますが、天野さん自身も魔法にかかったと
天野
本当にそうですね。でも私だけでなく、スタッフみんなが何かしらそうだったと思いますよ。一緒に広報を担当していた藤井も、私以上に魔法にかかっていました(笑)。彼女の頑張りもすごかった。
明確なポリシーがあって、それを共有して一緒に頑張る仲間がいて。そこに開設前の大きなエネルギーも加わって、すごくいい環境だったと思います。

学生一人ひとりと向き合う、ということ。

Q.
学生一人ひとりと向き合う。その気持ちは相手にも伝わっていたでしょうね。
天野

それは分かりませんが(笑)、でも開設して1ヵ月たった頃に、印象的なことがありました。ある学生の名前を呼んで、立ち話をしていたんです。そしたら、その後で横にいた学生が「おまえ、名前憶えてもらってていいなぁ」と言ったんです。
それだけのことなのですが「あ、そういう感覚なのかと。一人ひとりの学生をちゃんと見ててあげないと」と思いました。

そんなこともあって、学生と少しでも話した内容はメモをとるようにしていました。頭の中に全員分は記憶できないので(笑)。高校時代の話とか家族のこととか趣味のこととか、憶えておいてあげると学生はすごく嬉しそうな顔をするんです。また、そのノートに学生全員のリストを載せておいて、顔と名前を覚えた学生にはフラグを付けていました。私はそのフラグを増やすことを楽しみにしていましたね。

Q.
職員の方と学生の間で、これほど信頼関係ができているのはめずらしいのでは
天野

岡本キャンパスに戻ってきてから、CUBEの学生が訪ねてきてくれたことがあったんです。カウンターの向こうから「天野さん」って声をかけてくれて。今の部署では、学生が一人の職員をめがけてやってきて、名前で呼ぶというのはとても珍しいことなので、周囲はびっくりしたと思います。私としては、CUBEのそういった関係を誇らしく感じた瞬間でもありました。

CUBEには、石野が作った職員の行動指針があるんです。たとえば、「それはすべての学生のためになることですか?」といった内容で。佐藤と石野がつくりあげた進むべき方向がはっきりしていたので、私たちはそれに向かって進めば良いという点でとてもやりやすかったと思います。

Q.
学生たちは、本当に大切にされているのですね。
天野

学生の人数が少ないからできることだと思います。事務室のスタッフも限られているのでいろいろな面で学生と接することも多くなりますし。

一期生の卒業式のときに、稲岡や藤井と一緒に参加させてもらったのですが、改めて「CUBEはいい学校だな」と思いました。なかなか合格できなくて何度も受験してようやく入学してきた子たちや、初めは不器用で悩んでいた子たちが、「この子はCUBEの卒業生です。どうぞ見てやってください」と誇れるほど成長している。そんな姿を見て、本当にいい学校だなと思いました。

Q.
確かに、平生先生は喜んでおられるでしょうね。
天野
そうですね。CUBEが魔法学校だとしたら、その魔法はずっと消えない魔法です。長い人生のなかではいろいろな試練もあるでしょうけど、CUBEで学んだことは、きっと学生たちの人生を素晴らしいものにしてくれると思います。
私自身も、平生先生の想いをつなぐCUBEに関わることができて、とても幸せだったと思っています。
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